里山、そこは、ひとのあたたかさがつまった場所でした~能登ライフ体験ツアー1日目~

● 一日目は、能登島へ


●のとじまファーム

 ここは、耕作放棄地を開墾して昨年スタートしたばかりの農場。

まず、七尾市役所の方から世界農業遺産と六次産業化のお話を聞きました。能登の里山里海は、その農法や生産物ではなく、この風土・文化・社会経済など、この地域そのものが世界農業遺産になったそうです。人々や、御祭や、暮らしそのものが世界に誇るものなのだと。その認定に伴い、行政も一緒になって、一次産業×二次産業×三次産業=六次産業などいろんな活動に取り組んでおられるのだとか。のとじまファームも、その一環です。

 のとじまファームでは、従業員の前田さんに説明を聞いて、じゃがいもの間引きをお手伝い。一か所に元気なものだけを二本残して、残りは抜いてしまいます。青空の下、黙々と抜く、抜く、抜く。抜いたら、形になり始めた小さなじゃがいもが一緒に抜けてきたり、隣に生えていたススキがあまりにも固くてなかなか抜けなかったりして、少し自然界の厳しさを感じることもありました。

 作業が終わったら、冷たいお茶を片手に、土の上に茣蓙(ゴザ)を敷いてピクニック気分でお弁当タイム! 地元でとれた食材で作られた色とりどりのおかずと豆ご飯、労働のあとは格別においしかった!

 のとじまファーム、今後は、収穫体験や酪農体験もできるようになるのだそうです。家族と、友人と、ひょっとしたらデートでも楽しめるかも! 牧場部分ができたあかつきには、ぜひ乳搾りなんかもやってみたいなあと今から心待ちにしています。

営業マネージャーの東野奈津恵さんはとってもかっこいい女性で、そのオーラに参加した女子大生たちは惚れぼれしっぱなし。自分で道を切り開く女性の、スタイリッシュな新しい農業を見せていただきました。


●スギヨファーム

カニカマで有名なスギヨさん、その関連会社の農場を見学させていただきました。到着して目にしたものは、見渡す限り一面の畑。こちらのジャガイモはきれいな花をつけていました。対応して下さったのは、農場長の半澤咲子さん。スギヨから独立するに至った経緯や一日のシゴトの流れ、大手食品加工会社スギヨが何故農業進出して自社生産を始めたのかなど、大規模農業のいろいろな側面についてお話をしていただきました。

見学中も電話対応に追われる多忙な半澤さん。今度はじっくりインタビューにうかがいたいです!


●野生のイルカ

 移動中に、野生のイルカが生息しているという場所へ!

 そう、能登島にはここ数年、突然イルカが棲みつくという奇跡が起こって、巷で少しずつ有名になってきているのです。行ってみたら、なんとなんと、出会えました! 子どもも合わせて4頭ほどがお出迎えしてくれて、しかも飛んだり跳ねたり! こんなにはっきり遊んでいるところに遭遇するのは珍しいようで、短時間でしたがとっても貴重な思い出に。また会いたいな~♪


●瀬成家

 ひょっこり温泉「島の湯」で一日の疲れを癒し、本日のお宿へ。
 お世話になるのは、能登島でネギ農家を営む瀬成さんのお宅です。

 バスを降りて瀬成さんのお宅を見て、参加者一同、一瞬言葉を失いました。こんな大きな日本家屋、ほんとうに個人のお宅!? 今日はこんな素敵なおうちに泊めていただけるの!? と大騒ぎ(笑)。

晩御飯は瀬成農園でとれたネギをふんだんにつかったちゃんこ鍋や、息子さんがさばいてくれた姿造り、地元でとれた野菜のてんぷらや酢の物、ネギのサラダなど、おいしいもの尽くし! 瀬成さんを慕う農業研修生も加わって、能登のこと、農業のこと、話はつきませんでした。

 今回ホストとなってくださった瀬成さんは、とっても熱いお父様。人間は自然の一部であるというお話がとても印象的でした。お母様も息子さんもお嫁さんもとっても素敵な方々で、笑顔にあふれたご家族の優しさに包まれたような一晩でした。

 家の前の田んぼは、夜になるとほのかな光が。星空みたいなホタルの群れ、とても幻想的で感動しました。けれど瀬成さんいわく、夏真っ盛りはこんなもんじゃないとのことで。本物の満天の星空と満天のホタルを見においで、と言って下さいました。ぜひもう一度お訪ねしたいと思います!!


2日目につづく


金沢大学大学院自然科学研究科環境デザイン専攻修士一年
中谷 靜乃(なかたに しづの)