里山、そこは、ひとのあたたかさがつまった場所でした~能登ライフ体験ツアー2日目~

● 二日目は、能登半島の先端・珠洲へ。


●蛸島漁港(タコジマギョコウ)

 美味しい朝ごはんをいただいて、瀬成さんご家族とお別れして、石川最北端のまち・珠洲へ。あいにくの雨でしたが、蛸島漁港を見学です。ここでは、おさかなマイスターの前野さんにいろいろとお話を伺ったり、インドネシアの研修生の寮「パンダワハウス」の中に入らせていただいたり。底引き網の漁船の漁師さんたちに港に停泊してる船に乗せてもらって一緒に記念写真を撮ったりした後、みんなでおさかなBBQ~!とれたてのエビやハタハタを炭火で網焼きしたり、焼きおにぎりをしたり、焼きそばや能登牛など超贅沢! とっても楽しかったです! 研修生の方々がインドネシアの歌をギターと打楽器で伴奏して歌ってくれたりもしました。なんでも、インドネシアに残してきた彼女を想う歌なのだそうで…心に響きました。とても素敵でした。

 わたしが一番驚いたのはエビの食べ比べ。同じエビなのに色の濃いのと薄いのがあって、片方は高級なのだとか… えっ、そんなに違うの!? と聞けば、食べてみろ、と。もたもたと生のエビを剥いていたら見ていられなかったらしく、剥いてくれちゃいました(笑) いざ食べてみたら、安い方もとてもおいしいけど、高い方は、甘さが上品で身が引き締まってて、ほんとうにおいしかった! 醤油はつけてないのにほんのり潮の味でしょっぱくて、漁港ならではの贅沢な食べ方だよなあと感動しっぱなし。軽くあぶっただけのものと、こんがり焼いたものでも、味が違って、海の奥深さを体験させてもらいました。

 日本語カタコトのインドネシア人研修生たちと、訛りバリバリの珠洲の漁師さん。うまく言葉が伝わらなくても、お互い一生懸命にもっと深いところでコミュニケーションをしている、そんな印象を受けました。みんなの笑顔に、こちらの心もあたたかくなるのを感じました。こういった懐の深いところ、人情の厚いところが、里山里海のひとたちの魅力、引力なのかもしれません。


●田植え体験(NPO法人能登半島おらっちゃの里山里海)

 金沢大学能登学舎の近くの棚田で、小雨の中の田植え体験! ころがしを使った伝統的な手植えで、みんなで小さな一枚の田んぼを植えきりました。

 雨だということもあって農業用の胴長をはいたのですが、土がどろどろで足を動かすのが大変! 自分の足跡で植えた苗が沈んだり倒れたりしてしまいそうでむやみに動けず、NPOの方々に助けていただきました… お世話になりました。田植え長靴の偉大さも思い知りました。それぞれの作業に適した道具がちゃんとあるというのも、なんだか感動的。

 どろどろびしょびしょになりながらも、和気あいあいと田植えができました。自分たちが植えた苗がどんなふうに育つのか、どんなお米ができるのか、今からとても楽しみです。ぜひ収穫しにもう一度来たいと思います!
 

●古民家レストラン典座

 雨で濡れた身体を珠洲温泉「宝湯」でぽっかぽっかにした後は、古民家レストラン典座(てんぞ)で、ディナータイム。珠洲で獲れた海の幸を使ったフライや煮物、鯛のお吸い物、塩麹をのせたお豆腐、握りこぶしより大きな岩海苔おにぎりまで、これまた盛りだくさん。食器も漆のもので、なんだかテンションも上がります!珠洲在住の方も加わって、賑やかな食事となりました。

 ちなみにこの古民家は築150年以上で、お庭や茶室など趣深い。そして御主人はなんと珠洲焼の作家さん! 動物をモチーフにしたものも多くて、すごくかわいい!日本人の粋を感じました。


●小さな港のゲストハウス

 典座の奥様が新しく始められたゲストハウスに宿泊。夜は、この二日間の振り返りを。参加者全員で楽しかったこと、もっとやりたかったこと、何を見て何を感じたかなど、とても建設的な意見交換が行われました。こうして夜な夜な語り合って、参加者同士の仲は深まってゆくのです… あっというまに夜は更けて。

 翌日の朝ごはんは、東京出身で珠洲に移住した中谷なほさんが作ってくださるのをみんなでお手伝い。ゲストハウスの裏手はすぐ海で、みんな朝の散歩へ。とても気持ちよくてすがすがしい朝でした。


3日目につづく


金沢大学大学院自然科学研究科環境デザイン専攻修士一年
中谷 靜乃(なかたに しづの)