このプログラムは国立大学法人金沢大学とパートナー自治体(石川県、輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)によって実施されています

能登の世界農業遺産、次の5年をどう迎えるか

前回は、世界農業遺産に認定されて5年たち、これから能登の里山里海を次世代に受け継いでいくために必要なことについて、これまでお話しさせていただきました。
 

もう一つ、農水省による世界農業遺産「能登の里山里海」の取り組みに対する外部評価では、認定対象となった能登の9市町にまたがる全域的な取り組みが不足しているとの重要な指摘もありました。これには「オール能登」での取り組みの展開、すなわち生産者をはじめ、住民、企業、行政、そして能登を応援する都市住民をふくめた「横のつながり」の強化が必要です。

 
大学や行政ばかりが議論するのではなく、複数自治体の住民どうしで、世界農業遺産を活かした地域づくりをどう盛り上げていくかの議論が活発になるといいですね。
 

新たな「つながり」を結ぶ

ところで、皆さんに里山里海自然学校の名で親しまれている「金沢大学能登学舎」は、今年10月に開設10周年を迎えます。これまで能登学舎を舞台に生まれた新たな人と人との交流が、世界農業遺産を活かした地域づくりに、少しでもお役に立てたなら幸いです。
 

金沢大学が10年にわたって地域とかかわらせて頂くなかで、「能登里山里海マイスター」育成プログラムを始めとして、様々な人のつながりが生み出すチカラに、大きな可能性を感じています。これからは、地域活性化に先進的に取り組む国内外の他地域との連携、民間企業からの連携をさらに取り入れることで、珠洲がますます国際的にも注目されていくことを願っています。
 

不易流行(ふえきりゅうこう)の心で

変えてはいけない本質的なものを大切にしながら、時代の変化に合わせて新しいチャレンジをしていくこと、という意味です。松尾芭蕉が提唱した俳諧の理念と言われます。まさに世界農業遺産の理念に通ずる考え方です。今年50周年を迎えた珠洲青年会議所(JC)の基本理念にも挙げられています。

 
世界農業遺産を次の世代にどのようなカタチで受け継いでいくのか。白米千枚田のように、昔ながらのやり方を大切にする一方で、ボランティアなど協力者を得て守る対応も一つのやり方です。このような柔軟な対応(ダイナミックな保全)が認められるのも、世界文化遺産や世界自然遺産とは違う、世界農業遺産ならではの大きな特徴の一つです。

 
変えてはいけないもの、変えていくべきもの。未来の能登の遺産は、しっかり議論して小さなチャレンジを積み重ねた先にあるものだと思います。

 

6月18日にラポルトすずで行われた「奥能登未来会議」では、JC関係者をはじめマイスター修了生ら地域の実践者の皆さんが「新たなつながり」を結ぶことができました。

執筆者:伊藤浩二

(2016.9.1発行「広報すず」記事を一部改編)