このプログラムは国立大学法人金沢大学とパートナー自治体(石川県、輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)によって実施されています

第6回 多様な主体で守る農地の生物多様性、生物多様性で守る能登の農地

日時:2017年7月1日(土)9:30~16:45

場所: 珠洲市粟津地区、能登学舎

実習:

「粟津地区の取組の紹介」
宇都宮大輔氏(珠洲市自然共生室 自然共生研究員)
「自然観察のポイント」
高橋 久氏(NPO法人河北潟湖沼研究所 理事長)

話題提供:
「珠洲市の農村における生物多様性保全の取組」
宇都宮大輔氏(珠洲市自然共生室 自然共生研究員)

講義:
「生物多様性と環境に配慮した農業の取組-NPOを事例に-」
高橋 久 氏(NPO法人河北潟湖沼研究所 理事長)

ワークショップ:
「生物多様性を活かして先の見える事業を興そう」

概要:

最初に、宇都宮氏から、「トキと共に暮らせる環境を整備する」ことを目標に、ドジョウなどが生息する水田環境を取り戻そうと取組を進めている粟津地区の活動について話を伺い、現地で魚道やビオトープなど生き物を増やすための取組を見学した。高橋氏からは、自然観察のポイントについて説明を受けた後、数箇所から土壌を採取し、室内で土壌中の生物を分類した。土の中には多様な生き物が生息しているということ、そして環境が異なると土の中に生息する生物種も大きく異なるということを学んだ。

話題提供では宇都宮氏が珠洲市における生物多様性保全に向けた計画作りや教育活動など、様々な取組について話しを伺った。

講義では高橋氏が、生物多様性と生態系サービスがなぜ私達にとって重要なのか、現在どの様な状況であるのかについて、自身が関わってきた河北潟での経験を踏まえながら話して頂いた。以前は自然と一体となった循環する小さな社会が構築され、人々は河北潟から様々な生態系サービス(魚介類、遊び場、美しい景観、水質浄化作用など)を受け取っていたが、干拓工事が進み、自然と人々の暮らしが離れ、グローバル化した大量消費社会となっていくにつれて、ゴミや富栄養化、外来種などの様々な問題を抱えるようになった経緯を語った。そして、人と自然が共存する地域(循環型の地域再生)を目指してNPOが取組んでいるゴミ清掃活動や外来種除去活動、「生きもの元気米」などの取組について紹介いただいた。

ワークショップでは、3つのグループに分かれて、粟津地区の方々も交えながら地域の「強み、弱み、機会、脅威」などについて話合い、生物多様性を活かした事業のアイデアを考案した。弱みを逆手にとる斬新なアイデアの重要性について学んだ。

     

 

受講生レポート

 

フィールドワークで気付いたことについてまとめて下さい。

Aさん(珠洲市)

自分にとっては能登は何も無い田舎だと思っていましたが、見方を変えると色々な生物が住む、自然の恵み豊かな所なんだと改めて気付かされました。また、地元の珠洲でドジョウの水路を作る等の取り組みがあったのを知れて良かった。

Bさん(七尾市)

・昔の生活様式や生物の生息域など普段は車で通りすぎてしまう場所に良くみればいくらでも探せて発見できるのだなと思いました。

・田んぼや溜池、自然を利用して作った場所でも整備をしなければ維持出来ないし、整備をしたら必ず棲む所を追われる生物もいるという事を考えなければならない。

Cさん(珠洲市)

元々は昔から、ごくごく普通にあった環境ですが、あまりにもあたり前すぎて、この普通の環境が、いかに尊く大切なものなのかが、失われつつある中で気付く現状。地元の方々には、この環境は人間が豊かな生活が出来る上でとても大切であるという事を認識し、失われつつある事への危機感を常に持っていた方が良いなと思いました。私も地元住人の一人として、危機感を持ち続けます。

 

今回の講義や実習、ワークショップを通して、能登の生物多様性の保全や活用に関してどのような課題や可能性を感じたのか、そしてその課題を解決し、可能性を活かすにはどのような取組が求められるのか、意見を述べてください。

Dさん(富山県)

(課題)
・生物多様性の保全は、里山里海における循環型システムにとって重要である。
・人口減少するこれからの地方社会において、生物多様性の活用もさることながら、集落の存続が危ぶまれている。

(可能性)
・人間の手が入った2 次的自然をコントロールすることで、生物多様性を回復・保全することができるのではないかと考えられる。
・生物の多様性を活かすことで、付加価値の高いビジネスを生み出せるポテンシャルがある。

(求められる取組)
・生物多様性を保全するためには、さまざまなコストが必要となるため、生態系サービスを享受する側の意識を変えていき、そのコストを負担し、環境を支えていく循環の仕組みを構築しなければならない。
・生物の多様性を維持していくためには、保全する側(の組織)から積極的にコスト回収するシステムを考えだすことが重要で、最終的に消費する側(のエンドユーザー)が魅力を感じる商品やサービスを開発し、アピールし、提供していく必要がある。

 

Eさん(珠洲市)

(課題)
地域の結束、高齢社会、耕作放棄地、生物多様性の維持

(可能性)
自然豊かな土地での農作業、耕作放棄地が多いから何かを始めるには場所には困らない。

(求められる取組)
農薬や化学肥料を使用せず効率よく、手間をかけずにできるやり方があれば生物多様性が高まりやってみたい人が増えるのではないかと思う。
能登のブラントをさらに高めるため、能登牛+〇など、能登の暮らし方などでブランドを高める。

 

Fさん(珠洲市)
(課題)
・農業の担い手不足、耕作放棄地の利用法
・生物多様性の保全に関する認知度・関心の低さ

(可能性)
・新鮮で質の良い少量多品目の農水産物をブランド化し、高値で売る。
・能登の生物多様性に関心がある人が移住するようになる。

(求められる取組)
・「神子原米」に負けない「GIAHS米」をつくる!
・子どもと親が一緒に学ぶ「里山生きもの観察会」!
・移住者向け「農業体験ホームステイ」又は空き家を使ったシェアハウス!
・イノシシ処理施設を設置し、能登でジビエが食べられるように!