このプログラムは国立大学法人金沢大学とパートナー自治体(石川県、輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)によって実施されています

第1回 里山里海を活かした持続可能な地域づくり

日時:2018年4月14日(土)11:10~12:10, 13:40-15:15

場所:金沢大学能登学舎

入講記念講演「里山里海を活かした持続可能な地域づくり」

講師:武内 和彦 先生
東京大学サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)機構長・特任教授/国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)上級客員教授

ワークショップ・意見交換会

話題提供:伊藤浩二「国際的な枠組みやキー概念と能登の身近な例をつなごう」

コメンテーター:武内和彦、中村浩二(金沢大学名誉教授)、永井三岐子(国連大学サステナビリティ高等研究所・OUIK事務局長)、飯田義彦(同・研究員)

概要

武内先生の講義では、生物多様性条約締約国会議(COP10)で提案された「SATOYAMAイニシアチブ」をはじめ、生態系サービス、社会生態システム、レジリエンスと分かち合いの経済学、世界農業遺産、持続可能な開発目標(SDGs)、生態系を活かした防災・減災などの重要概念を具体的なエピソードを交えて解説した上で、最初に日本で低炭素社会、循環型社会、自然共生社会の統合による「持続可能な社会」、都市農山漁村の連携による「自然共生圏」の確立を目指すことの重要性を説いた。

意見交換では、最初に受講生一人ひとりが武内先生の午前の講義を踏まえて、重要なキーワード、印象に残ったフレーズを書き出しグループでシェアしてもらい、ホワイトボードをつかってキーワードを整理した。すると「東洋的自然観」「分かち合いの経済学」等が特に取り上げられ、それに対して武内先生から「伝統知科学の確立」「「新しいコモンズ論」など、さらに深掘りした解説がなされた。次に、伊藤から能登での修了生の活動事例を紹介し、武内先生が示した国際的枠組みやキー概念との関連性を具体例で解説した。最後に、受講生から卒業課題テーマなどで考えていることを紹介し、パネリストから受講生に能登での活動についてのアドバイスをいただいた。最後に武内先生から、マイスター受講生の意見からアートの重要性について再認識したとのコメントが有り、里山里海の取り組みにぜひつなげてほしいとの期待が込められた。

受講生のレポート

午前の武内先生の講義から、重要だと思ったキーワードや印象に残ったフレーズについて箇条書きで要約して下さい。

Aさん

■少子高齢化、過疎の進行している能登において、世界農業遺産に認定された里山里海を「低炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の統合によって持続可能な社会を地域みんなの手で構築すべきだと思った。①食糧と生計の保障、②農業生物多様性、③伝統知識と技術、④文化、⑤ランドスケープとシースケープの特徴の組み合わせを強くして、能登ブランドを強化できればとも思った。

■おすそ分け(文化)はこれから目指すべき経済社会であると言えるという言葉や、細やかな自然であるがゆえに複雑であるものを複雑に扱っていくことが重要であるという言葉が印象に残った。

Bさん

■重要だと思ったキーワード
「東洋的自然観」 「里山」 「里海」 「生態系サービス(恵み)」 「社会生態システム」「おすそわけ文化(いただきもの)」 「生態系を活かした防災・減災」 「自然の恵みと脅威」「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」

■印象に残ったフレーズ
「SATOYAMA イニシアティブ」は、伝統的な自然共生の智慧+『現代の知識や技術』『新たな共同体の構築』=自然・社会条件を尊重した自然共生社会、という考え方は、単に燃料革命以前の自給自足のような社会生活に戻るのがよいという発想ではなく、これから人類が目指していくべき将来像を適切に表していると感じました。

Cさん

■自然観は西洋的なものと東洋的なものに分けられる。「共生」や「里山」は東洋的な価値観に基づいている。

■国際的には(注:世界農業遺産でいうところの)「農業」とは作物を育てるという狭義的な意味合いに限らず、林業や漁業などを含んだ広いものである。

■珠洲市日置地区におけるレジリエンス指標の調査結果では、20ある指標のうち「知識や伝統、文化の記録」という部分が特に低評価であったこと。

※注はスタッフによる補足説明です。