このプログラムは国立大学法人金沢大学とパートナー自治体(石川県、輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)によって実施されています

第3回 里海実習 ―能登の生き物と漁業の多様性を学ぶ―

日時:2018年5月26日(土) 9:30~16:30
場所:能登学舎および珠洲市三崎町小泊海岸周辺

講義:

「いしかわ・能登の水産業」

田中正隆氏(石川県農林水産部水産課企画流通グループ 課長補佐)

「能登の藻場と食用海藻」

池森貴彦氏(石川県水産総合センター 普及指導課長)

話題提供:

「自然の恵みを利用する知恵と文化を受け継ぐ~暮らしと自然の繋がりの再発見~」

小林由佳氏(能登里山マイスター4期修了生)

「小泊地区での海藻の利用について」

上野登起男氏(三崎町小泊在住漁師)

実習:

「海藻の採集と見分け方」

池森貴彦氏(石川県水産総合センター 普及指導課長)

概要:
田中氏の講義では、能登半島周辺の海域特性とそれらの異なる海域で営まれている水産業の概要について話して頂いた。水産資源は比較的再生産サイクルが短い資源ではあるが、資源量は変動しやすく不確実性をもち、そして獲った人の所有物となる資源であるがためにルールがないと枯渇しやすい資源であるということを学んだ。魚を減らさないように管理しながら計画的に行う漁業(資源管理型漁業)について紹介頂き、水産業や漁村には水産物を供給するという機能以外にも水域を見守る、環境を守る、自然や文化を伝えるなどの多面的な機能があるということも学んだ。池森氏には石川県には多様な海藻が生息しており、食材として利用されていることを話して頂いた。藻場は水産生物の産卵場所や生息場所、エサ場になっており、水産資源の増殖に大きな役割を果たしていること、そして海と山は繋がっており、大量の泥などを含んだ水が陸から海に流れ込むと海藻が枯死してしまうことなどを学んだ。人々が海に親しむ気持ちを育てることの重要性を話していた。

小林氏からは自身がマイスター受講時に取組んだ能登での山菜や海産物などの食材の利用状況に関する調査研究の結果ついて話題提供頂いた。

実習では小泊地区の海岸を散策し、池森氏の説明を受けながら海藻の生えている状況を確認しながら採集を行った。その後、採集した海藻の種類を調べた後、標本を作製し、余った海藻は味噌汁にして試食を行った。そして、上野氏からは小泊地区でよく使われている海藻とその海藻を採取するための様々な道具について話を伺った。子供のころからの海の様子の変化や担い手不足の課題などについても話して頂いた。

 

 

 

受講生のレポート

田中先生、池森先生の講義、小林さん、上野さんの話題提供を通じて、能登の里海の生物や文化の多様性について、関心を持った話題を挙げて、感じたことや考えたことを述べて下さい。

Aさん
海に行った時、いつも目にしていた海藻ですが、池森先生の講義のあとは興味が湧き、世界が広がるような感覚になりました。数100mの海岸(今までただの景色でしたが)の見方が変わる貴重な経験ができました。

Bさん
「海からの産物を利用することで海を大切にする気持ちがわく。」 ただ単に「海にゴミを捨てない」「自然を大事に」と言うだけでなく、海のありがたさを感じ、大切にする気持ちがうまれる、という流れがとても自然でわかりやすくて良いなと思いました。

講義及び実習で感じたことを踏まえて、一般の方に里海の生き物の豊かさについて理解・関心を深めてもらうためにどの様な工夫ができるかあなたの考えを述べて下さい。

Cさん
今回の様に、実際に自分でとったものを食べる。そうしたことが、より身近に感じられて関心がもてると思います。あとは、こんなことにも活用できるという様な意外性もアピールできればよりよい関心がでてくる気がします。

Dさん
海藻や貝などは、一般の方が行っても良い場所、採っても良いもの、時期、食べ方などがすぐに見てわかるものがあると嬉しいです。海はみんなの物なのに、どうしても誰かの物のように見えるので、そうなると、一般の人はより関わりが持ちにくくなる、そうではないという情報が簡単に見れるようになると関われる人が増えるのではないかと思いました。理解・関心を深めることによりどういうことに結びつくのか、なぜ理解・関心を持ってほしいのか、それに対して、自分がどう関われるのかまで見せれると良いのではないかと思います。