このプログラムは国立大学法人金沢大学とパートナー自治体(石川県、輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)によって実施されています

学びつづけることができる珠洲市

地域活性化に関わる社会人を対象とする「能登里山里海マイスター」育成プログラムでは、この春、修了式と入講式があり、沢山の来賓の方にもお祝い頂き、卒業生、新入生とも新たなスタートを切りました。

新たに6期生が入学

4月14日には6期生の入講式を執り行いました。現在27名が能登学舎に月2回通学するほか、先進地視察や卒業課題研究なども独自で行い、来年3月の卒業を目指します。珠洲市内からは会社員や自営業、市役所職員、地域おこし協力隊、高校教諭など8名が受講しています。受講生に「何を学びたい」と尋ねると、能登の地域資源、自然、地域の歴史や文化の魅力を勉強したい、地域の課題に取り組みたいと頼もしい答えも返ってきました。能登学舎での座学だけではなく、珠洲をはじめ能登各地の現場で学ぶスタイルを重視していますので、皆さんの近くにマイスターたちが立ち寄りましたら気軽にお声掛けください。

 

 

武内和彦氏の記念講演から

入講式に併せて開催した公開講演会では、「世界農業遺産」制度の立ち上げに大きく貢献された元国連大学副学長の武内和彦先生(現・東京大学特任教授)がお話されました。国際的に活躍され、持続可能社会に関する日本の政策づくりにも深く関与されている武内先生から、能登の事例を交えてわかりやすくお話しいただきました。「東洋的自然観」に由来する共生の考え方が、これからの持続可能な国づくり・地域づくりの基盤になること、近所どうしの「おすそ分け」に象徴されるような「わかちあいの経済学」の重要性など、受講生の心に残るメッセージをいただきました。

また、世界農業遺産地域で豊かな自然や文化を生かし、農林水産業を持続可能なかたちで発展させるため、農業、林業、水産業の個別の取り組みに終わらせず、森里海のつながりを意識した地域ブランドづくりが必要でないかと提起されました。

 

 

21名の「マイスター」が輩出

入講式に先立ち3月17日に行われた5期生修了式では、21名の「里山里海マイスター」が新たに認定され、金沢大学の山崎光悦学長から認定証を受け取りました。珠洲市からは今井誠さん、志保石薫さん、辻口洋史さん、中谷竹志さん、松田咲香さん、松本恵さんの6名が卒業しました。修了生を代表して今井誠さんが宣誓し、「人と繋がることがこんなに楽しい事なのだと改めて実感している。今後もみんなで協力しながら継続した取り組みを進めていきたい」と意気込みを語りました。この10年間で165名のマイスターが輩出し、そのうち60名は珠洲市在住者で、各分野で活躍しています。

マイスターだけに限らず、身近に学び続けることができる環境が珠洲市にあることは、私たちの地域の可能性をより広げると感じています。人口減少時代の困難な状況だからこそ、新しくチャレンジし始める人たちを、私たちは応援し続けます。

 

伊藤 浩二【いとう こうじ】

金沢大学地域連携推進センター特任准教授。能登学舎(三崎町小泊)に赴任して10年、マイスタープログラムの運営や受講生指導のほか、希少野生植物の保全や植物資源利用の研究をしています。

(広報すず6月号「金沢大学能登学舎の窓から 」に掲載された文章を一部変更したものです)