このプログラムは国立大学法人金沢大学とパートナー自治体(石川県、輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)によって実施されています

第5回 マイスター修了生の活動からみた能登活性化の可能性

日時:2018年6月23日(土)

  • ガイダンス: 卒業課題テーマ報告会、能登GIAHS調査実習、先進事例調査実習について
  • 講義「マイスター修了生の活動からみた能登活性化の可能性」

-講師:伊藤浩二氏(金沢大学)

  • 修了生による話題提供

-池田紘一さん(里山マイスター4期生)

-宮中恵介さん(里山里海マイスター5期生)

-今井誠さん(里山里海マイスター5期生)

  •  へんざいもんにて立食交流会 (修了生・現役生の交流企画、ポスターセッション)
  • 現地研修「修了生の活躍現場の訪問~創業事例を中心に」

-西中農園(能登町松波) 西中宏美さん(里山マイスター4期生)

-べジュール合同会社(珠洲市野々江) 足袋抜豪さん(里山里海マイスター3期生)

概要:

マイスタープログラムではこれまでの11年間で165名の修了生を輩出し、多方面で能登活性化の原動力となっている。その取り組みや人とのつながりはマイスタープログラムにとってもまさに「宝」であり、諸先輩らがどのような課題にどのような手法で取り組むかを知ることで、今後の学び方への手がかりを掴むことを講義の目的とした。

伊藤氏の講義では、修了生の165名の分析と事例紹介から、能登の課題と地域資源の多様性を俯瞰して整理した。SDGs(国連が定めた「持続可能な開発目標」)と対比することで、マイスター受講生の取り組みが能登の持続可能な発展にとどまらず、グルーバルでも貢献しうることを示したほか、社会・経済・環境の3つの分野での相乗効果を生む取り組みに発展させるためには、多様な学びのレベル、多様な主体の協働が必要でないかと提案した。

話題提供では3人の修了生による実践例を紹介した。池田氏は能登町柳田でのワインツーリズムの展開を目指した、風土に適した醸造用ブドウの栽培研究の結果について紹介した。病虫害やイノシシ害への対応に苦慮しながらも、野菜栽培をしながら資金確保しつつ、計画を柔軟に修正しながら仲間と取り組むことの重要性を示した。宮中氏は、自身が所属する青年団活動を通して、地域コミュニティの結束を高める取り組みを紹介した。マイスターや全国の青年団組織との交流を通して協力関係を結ぶことで、地域交流の新たなきっかけを得て、それにより住民の地域への関心と誇りをたかめ、結束を強めていくプロセスが示された。今井氏は、工務店の大工・建築士として、地元産木材を通して産地とエンドユーザーをつなげる取り組みを紹介した。また自身の経験から、マイスター受講生同士の交流活動を通して得た「他者に巻き込まれてみることの重要性」を示した。

午後の講義では、奥能登で創業した修了生の現在の活動状況を聞く機会とした。西中氏からは、加工品の試食のほか、現在の活動に至るまでの取り組み、種無し柿の特性を活かした加工品開発などの説明を伺った。「いらないモノでも、他に行ったら宝である」との周囲の助言から商品開発の気づきを得たとの経験から、日ごろの人を介したつながりの重要性を示した。

次に、若手農家らで組織したベジュール合同会社の代表の足袋抜氏には、元々は塩田であった農園を案内していただき、販路の開拓や、収穫の効率化に基づいた栽培法などの説明を受けた。特に首都圏で人気が高まっているケールの栽培については、寒さに強い品種であり、また、水はけの良い土壌に適していると語り、能登の立地特性を活かした品種の栽培に取り組むことの有意性を示した。

 

受講生のレポートから

午前の修了生の話題提供(池田氏・宮中氏・今井氏)午後の西中氏、足袋抜氏の視察先について、その活動や里山里海の継続性の上で重要だと感じた点を述べるとともに、自身の活動に対して参考になった点について記述してください。

池田氏について

Aさん

理想と現実と計画のギャップがリアルで考えることが多い報告であった。

宮中氏について

Bさん

文化比較によって、また、地域の良さを再認識することによって、地域の活性化が行われた点に重要性を感じた。

今井氏について

Cさん

森林の現状とまちの現状をもとに地域工務店の役割を位置付け、仕事の中で取り組んでいること自体が、持続性のある重要な活動だと感じました。

西中氏について

Dさん

全国規模に販路開拓するのではなく、気に入った商品があれば直接能登に足を運んでもらい購入してもらうという発話から、里山里海持続のヒントを感じた。

足袋抜氏について

Eさん

人手・販路・品質・量の確保など難しい課題を感じた。地域のスーパーの野菜や果物でも年間かなりの売り上げがあり、近くに販路として有力となるマーケットがあるのだと感じた。