このプログラムは国立大学法人金沢大学と出資自治体(珠洲市)、連携自治体(石川県、輪島市、穴水町、能登町)によって実施されています

第11回 世界農業遺産の現在を知り、未来を描く

日時:2019年10月26日(土) 場所:能登学舎

(プログラム)

 9:35- 10:25 講義「世界農業遺産「能登の里山里海」は何なのか」(伊藤浩二)

10:35- 11:15  話題提供「世界農業遺産『能登の里山里海』」 (石川県里山振興室・小中健太郎氏)

11:20- 12:00  話題提供「世界農業遺産の今 -SDGsとの関係性から考える- 」(国連大学IAS-OUIK事務局長・永井三岐子氏)

12:00- 12:30  質疑応答・意見交換「世界農業遺産と私たちの役割とは?」

コメント:中村浩二先生(メッセージ読み上げ)

13:30- 14:30  演習「能登の里山里海の農林業システム大解剖!」(グループワーク)(伊藤浩二)

14:30- 15:10  グループ発表、講評、次回案内

15:20-16:30  卒業研究・プロジェクト研究相談会~中間報告会に向けて(担任別)

(概要

 能登が世界農業遺産(以下、GIAHS)に認定されたことは地域活性化につながる大きな希望である一方で、その持続可能性を高めるためには様々な困難を抱えた状況にある。今回、能登GIAHSについてさらに深く堀り下げて知ることで、単にGIAHSを活用する視点だけではなく、如何にして私たち自身がGIAHSの価値を高めていけるのかについて、それぞれの役割を考えていくことを目的とした。

 伊藤氏からは「能登の里山里海」がGIAHS認定された経緯の説明のほか、GIAHSの農林業システムとしてどのような特徴があるかの解説があった。特に里山と里海の両システムが近接して存在することで創発する機能や価値に着目して「Meta Social Ecological System」として能登のGIAHSシステムを理解することを提唱した。

 小中氏は、石川県のGIAHS関連施策のほか、能登の9つの自治体が組織する「能登地域GIAHS推進協議会」、石川県、認定地域9自治体と農林水産業や観光関係の民間団体で組織する「世界農業遺産活用実行委員会」の取り組みを紹介した上で、①能登GIAHSの認知度の低さ、②生物多様性調査の簡便な手法開発、③推進協議会の事務局機能の強化の3つを今後特に力を入れて解決すべき課題に挙げた。

 永井氏は、農水省による能登GIAHSのモニタリング実施の状況を受けて、現在の能登GIAHSの課題と可能性について分析し、能登GIAHSの今後の発展のためには①共通ビジョンを持つこと、②地域の様々な団体が有機的に会合を持つこと、③成果指標を設定、計測すること、④団体間の学び合いを促進することが重要であると指摘し、GIAHSとSDGsを地域課題解決ツールとして使いこなすために、コレクティブな協働の実現を呼びかけた。

  午後は能登GIAHSに関する農林水産業の「システム」に着目し、どのような要素が繋がりあいシステムを構築しているのかを受講生に身近な事例を通して知ることで、そこからどのようなストーリーが生まれうるのかを議論した。 能登の広葉樹システム、「能登ワイン」システム、穴水の山菜システム、揚げ浜式製塩法システム、里山米システムが取り上げられらた。

受講生のレポートから

①本日の講義全体を通して、世界農業遺産「能登の里山里海」について新たに知れたことはありましたか?特に卒業研究・プロジェクト研究や自身の事業で関連があると感じた人は、どう活かせるかを想定しながら答えてください。

Aさん

能登GIAHSの特徴は多様性であり、それ故に現場が混乱したり、GIAHSのブランドの活用法が難しく、だから認知度が低いのかもしれない。ですが逆手に取って考えれば、GIAHSを「能登半島を語る際の共通語」と捉え、永井さんがおっしゃるCollective Impactを実践することができる、そのポテンシャルを秘めているとも言えると思いました。それにあたり「トップダウンからボトムアップへ」いかに転換できるか?がのとの一番の課題ではないでしょうか。現場の方々は、自然との共生等をピュアな動機から実践している印象を受けています。そのピュアな気持ちからの若者同士のつながりもできているようです。そういうCollective Impactが後付けでGIAHSやSDGsと結びつく形でも良いのではないでしょうか。

② ワークショップを通して、世界農業遺産の農林業システム関する理解がどのように変わりましたか?またその可能性について感じたことを答えてください。

Aさん

伝統が浅い「能登ワイン」は果たしてGIAHSと言えるのだろうか?と先日現場訪問してからずっと悶々と考えていました。今日の講義とグループワークの発表を聴いて、「動的な保全」としての牡蠣の殻の再利用などの価値は、GIAHSに値するのかなと納得することができました。